再現ではなく創造へ――技術者と職人に求められる発想の転換
先日、藁で焼いたカツオのタタキをお店でいただきました。
口に入れた瞬間、藁の香ばしい香りがふわりと鼻を抜け、スーパーで売っているものとはまるで別物でした。
最近では、お店の抽出技術を再現したコーヒーメーカーや、焼きたてのパンの味わいを再現するトースターなどが人気を集めています。炊飯器も昔から「釜炊きの再現」を目指して進化を続けており、いかにも技術者らしいストイックなアプローチです。
しかし、これでは「近づける」ことはできても、「追い越す」ことはできません。
技術者は、明確な目標設定がしやすい“再現度”を重視する傾向があり、「おいしさ」そのものには案外無頓着であることもあります。日本の革業界も同様で、革職人が海外の有名ブランドを無意識のうちに技術目標としてしまうケースが少なくありません。
「同じ材料と同じ技術を用い、価格を下げてもなお売れない――。」
よく耳にする話です。
それは、マーケティングやブランディングが疎かになっているからです。環境の変化やニーズの移り変わりを捉えず、モノマネで技術を競っているだけでは、残念ながら売れるものは生まれません。
もし家電の技術者が、「おいしさとは何か」という本質に焦点を当てたら、きっと日本発のまったく新しい製品が生まれるはずです。
たとえば「香り」をどう広げるかにとことんこだわれば、朝の眠気を解消してくれるコーヒーメーカーが生まれるかもしれません。
部屋中にパンの焼きたての香りが広がれば、リッチな気分で一日を始めることもできるでしょう。
革職人もまた、縫製技術や加工技術にとどまらず、もっと広い視点でユーザーと向き合った作品づくりを行えば、業界全体がさらに盛り上がる可能性は十分にあると感じています。
「再現」ではなく「創造」へ――その発想の転換こそが、次の日本の強みを生み出す鍵になるのかもしれません。
作品を作るときは「どんなシーンで」「何をいれるか」「どんな機能が必要か」ターゲットの生活や意識の変化を考慮して無駄のない仕様を決定してます。
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