誰も伝えない本革事情?
塗装、コート、型押し、etc。本革の加工技術は多岐にわたり、革屋さんに行くと種類の多さに圧倒されます。ワニ革のように加工した牛革などは驚くほど良くできてます。
「沢山、加工しているのに、おやっ、思ったより安い」
しばらく見て回ると加工処理が多いのに安いものが沢山あります。製造の手間や塗材などが増えているのにおかしな話です。調べてみると天然由来のキズを塗りつぶして隠したり、シボ加工をいれることで目立たなくできるので、質の悪い安い革を下地に使えるからだと分かりました。
大量生産は品質の均一化を図る為、素材のキズやムラを嫌います。プロダクトの世界で合成皮革が広まっているのは、安さに加えて素材が均質で扱いやすいからです。
安い革のアラを覆い尽くす分厚い塗装、製造のキズさえ目立たなくするシボ加工、汚れや経年変化を防ぐ防水等の加工。製造都合が『美しい表面加工』『使用時のキズを目立たなくするシボ加工』『水にぬれても安心の防水加工』とユーザーの利便性を上げる名目に置き変わるのです。
同じ過度な表面加工をすれば、下地が革だろうがビニールだろうが関係ありません。切り刻まなければ下地が革だと誰も気づきません。それならビニールの方が軽くて便利なくらいです。愛着を生み出すエイジングなんて期待もできません。
HIIROシリーズの作品でヌメ革を使う理由は、失われつつある本革本来の手触りやエイジングの楽しさを知っていただきたいからです。
本物をさり気なくアピールできるように切断面(コバ)を配置したり、切断面や裏が見える革タグをデザインに取り入れてます。切断面が創り出すエッジと厚革が醸し出す柔らかなアール、厚切りの一枚革に相応しい表現に辿り着いた作品です。
0コメント