縫製部を表に出さない作り込み

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天然一枚革!使い捨て卒業『紙袋風自立するレザーバッグ厚切・たっぷりA4/B5』

https://www.makuake.com/project/hiiro34/

紙袋は、サイドの一カ所を袋状に貼り合わせた後、底部を折って重ね合わせることで作られます。シンプルな構造ですが、とても合理的です。底部に厚みを持たせることで、紙の弱さを補強し、薄く折りたためるのにサイドの折り目が柱となって自立します。まるで日本の伝統美の一つである折り紙のようでもあり、設計的にも完成されています。

最初は同じ構造を再現しようとしましたが、サイドの縫い目が「ありきたりなバッグ」という印象を与え、残念な仕上がりになってしまいました。底面の縫い目も、何となく「バッグ」らしさを強調するだけで、どこか「まがい物感」が強く、せっかくの「本革」まで偽物のように感じられました。

紙袋と同じように接着で仕上げる可能性を探るため、さまざまな接着剤メーカーに相談しましたが、数十年にわたる長期使用に耐えうる接着剤は見つかりませんでした。靴の製造では接着が主流であるため、気軽に考えていたのですが、それが甘かったようです。折りたたむことでさまざまな方向に力がかかると剥がれやすく、経年劣化も避けられません。どれだけ丁寧に作業しても、接着剤がはみ出したり、接着ムラが生じたりするため、品質の安定性に課題が残りました。これを経て、適度に力を分散できる「縫製」が古くから革素材と相性が良い理由を再認識した次第です。

紙袋は使い捨てですが、エイジングを楽しむ本革を最大限に生かすために、今回は新たな縫製パターンを考案しました。折りたたみのラインに沿って逆Y字型に裏面から縫うことで、糸を一切表に出さないようにしています。これにより、革の重厚感が紙袋のチープさを払拭し、使うほどにエイジングが進み、品格が増します。また、力のかかる底面は一枚革を贅沢に使用し、完全にシームレスな仕上がりにしました。縫い目を隠すことで、美しさを保つだけでなく、糸の摩耗によるほつれを防ぐ役割も果たしています。

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