『レア』という価値

大量生産を行うシステムには、分業による効率化が不可欠です。マーケティング、企画、デザイン、設計、試作、試験、調達、製造、宣伝、営業、流通、アフターサービスと、少し書き出しただけで十を超える業務があり、さらに間接部門として法務、総務、経理、人事、保守などを足すと、二十近くの部署が生まれます。多くの人が関わることで、大量生産された消費財は『効率的』に生まれてくるのです。

皆さんは、今朝、食事に使ったスプーンのブランドを言えますか?ブランドを知らなくても、道具として機能するなら問題ありません。百円ショップで買ったスプーンも、百貨店で買った銀のスプーンも、道具としては同じです。

それなら、なぜ『銀のスプーン』は存在できるのでしょうか。その答えは『こだわり』です。銀のスプーンは、その素材と手作業の丁寧さによって、使うたびに特別な感覚をもたらします。手にしたときの重み、口に触れたときの滑らかさ、そしてその輝きは、日常の食事にさえも高級感を与えます。これは単なる機能ではなく、使う人の心に響く特別な体験です。

バッグの世界も同じです。大量生産された安価な製品が溢れる中、高級ブランド品は『自己表現』という機能以外の価値を提供しています。高級ブランドのバッグは、そのデザイン、素材、職人技が融合し、一つ一つが独自の物語を持っています。それを手にすることで、所有者は自分の個性や価値観を表現し、特別な自分を感じることができるのです。

HIIROシリーズは、全ての工程を分業せずに一人で行っています。製造という点では非効率かもしれませんが、オリジナル性を生み出すという一点において、どこよりも『コンセプト』を貫くことができます。手作りなので大量に作ることができませんが、『レア』という価値がプラスされます。希少性も愛着を生み出す『コンセプト』と考えてます。

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