014 本革の本当の価値
モノの価値には二面性があると思う。一つは存在理由、道具てあれば用途だろう。もう一つは所有すること。
茶碗を例に取れば一個百円のプラスチックと陶芸家が作り出した作品。どちらも茶を飲む道具としては十分に機能する。それでも陶芸家の作品を所有したいと思うのはなぜだろう。
人に見せて褒められたい?眺めているだけで落ち着く?手触りが違う?所有の理由はいろいろあるが、このことによってお茶の味まで違ってくる。人は味覚だけでお茶を楽しんでいるのではない。
革作品も同じだ。素材としてはビニールや布のほうが安価で軽く、なにより扱いやすい。本革は濡れれば痛むし、手入れも必要だ。最近の革は様々な表面加工やコーティングで対策されたものが多い。だけどこれらは劣化しかしない。
それに比べて、ヌメ革はエイジングの楽しみを教えてくれる。傷の一つが思い出になったりする。しっとりと飴色に変化したものを見ると、長い時間を共に過ごせたことに感謝したくなる。
不均一で扱いにくく、コストも高いヌメ革にこだわっているのは、その価値に共感してくれる人がいるからだと思う。
キャメルはエイジングが分かりやすい素材です。
ブラックはエイジングが分かりにくい素材と言われますが、実は奥深くてとても良い風合になります。
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