006 鞄と袋を取り巻く環境変化
レジ袋の有料化が叫ばれ、環境に対する意識が本格的に高まりつつある。過去に幾度となく問題視されたが今一つ広まらなかった。環境より利便性や企業の合理性が優先されてきた結果だと思う。
ペットボトルが導入された時にマスコミを中心に不買運動が取りざたされたが、結局、今では声をひそめている。こうした問題はいつもデリケートだ。
現在、日本国内の鞄・袋物の小売市場規模は約1.1兆円で横這いとのことだ。しかし、それは表向きであって中身はやっぱり変化している。
人口が減少局面を迎えて消費の在り方が変わる時代、どの産業も企業努力を怠らない。売り上げが減少していないのは、むしろ変化への対応が上手くいっていると評価できる。
話は変わるが『鞄』と『袋』。この二つがどう違うかご存じだろうか。簡単に整理したのが下の図になる。鞄は形が決まっていて、袋は折りたたんだりしてコンパクトにできるのが特徴だろうか。
スマホで何でも済ませる時代、クールビズなどでビジネスファッションがカジュアル化する時代、かっちりした革のバッグを持ち歩く人は、今後、少なくなっていくのではないだろうか。
書類も手帳もペンケースも記録用のデジカメもスマホ一つで十分だ。キャッシュレス化が進めば財布も必要なくなる。
それよりも地球温暖化対策。ゲリラ豪雨には折り畳み傘。紫外線対策で男性用の日傘の売れゆきも好調らしい。
マイボトルを持ち歩く習慣や弁当男子などニーズは常に変化している。スマホの予備バッテリーなんかも新しく増えた持ちモノか。
最近、思うがスーツを着る機会が減るとポケットが少なくて困る。花粉症のおかげでティッシュとマスクが必需品。辛い物が流行ったり、温暖化で暑い日が続くとハンドタオルも欠かせない。
小型の肩掛けバッグを電車なんかで見かけるようになったのはその為か。市場サイズが変わらなくても世の中は変化している。
もう一つ増えたのが背負うメッセンジャーバッグやバックパック。ノートPCなどの仕事道具や着替えやシューズまで丸々詰め込んで仕事帰りのフィットネスもバッチリと言ったところか。
時間の使い方が大きく変化した表れだろう。実際にそれらのうたい文句に時短は欠かせない。提供される価値は荷物をどうシステマチックに合理的に運べるかだ。
こうしたバッグの特徴の一つが可変的な収納力。何だか袋ものに近づいている。ビジネスも遊びも旅行もこれ一つ。所有物を減らして『モノ』ストレスから解放されたいと言うミニマルな発想が現れている。TPOに合わせて鞄を変える時代は過去のものになるのだろう。
ネットでの買い物が当たり前の現代、リアル店舗での買い物は減ってきている。かつては電車の中で大きな紙袋を幾つも持ち歩く人がいたものだが、今はあまり見かけない。
スーパーの配達ビジネス、ファッションアイテムやスポーツアイテムのリースやレンタル。コワーキングスペースやカフェ人気。生活スタイルも働き方も大きく変化する今、鞄や袋ものを製造するメーカーも変化を求められている。
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