ノートと手帳、紙の上のふたつの世界

ノートと手帳。どちらも「紙を束ねた道具」という点では同じですが、使い方も、形も、実は大きく異なります。

ノートは、どちらかといえば自分の思考をじっくりと育てるための場所です。

アイデアを自由に広げたり、図を描いたり、気の向くままに書き足したり消したりできます。

まるで白いキャンバスに絵を描くように、考えを「広げる」ための空間といえるでしょう。

一方で、手帳は未来の予定や大事な情報を「記憶する」ための道具です。

スケジュール、締め切り、約束、ちょっとしたメモなど、どれも「忘れない」ために書き込みます。

頭の中に抱えきれない情報を外に出すことで、今この瞬間に集中できる安心感を与えてくれる存在です。

この役割の違いは、形にもはっきり表れています。

ノートは比較的大きめのサイズが多く、机の上に広げてのびのびと使う前提で作られています。

逆に手帳はコンパクトで携帯性が重視されており、カバンに忍ばせて、いつでもどこでも予定を確認できるようになっています。

さらに手帳には、ペンホルダーやカレンダー、名刺入れなどの付属機能が付いていることが多いです。

これは「素早く記録する」ことを目的としているためです。

一方でノートには、こうした付属物はあまり好まれません。

表面に凸凹があると筆記の妨げになり、思考を展開する自由さが損なわれてしまいます。

また、ノートでは複数のペンやマーカーを使い分けることが多く、必要な筆記具はペンケースにまとめて持ち運ぶのが一般的です。

「紙を束ねる」という同じ出発点を持ちながら、ノートと手帳はまったく異なる進化を遂げてきました。

発想を耕すノートと、未来を支える手帳。

それぞれの役割と形には、使う人の生き方や考え方までも映し出されているように感じます。

今回の作品はノートですので名刺入れやペンホルダーなど余計な付加機能は一切付けてません。本革製の手帳は沢山ありますが、ノートはあまり見かけません。そこでA4コピー紙を使ったノートを作ってみました。

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