承認欲求と自己満足

財布やカバンなどのファッションアイテムには、実用的な機能以外にも別の役割があります。他者とは違うモノを所有することによる自己満足もありますが、それだけではありません。これらのアイテムは、自分らしさを表現する手段であり、他者からの承認欲求を満たす道具としての役割も果たしています。

100円ショップで手に入る実用品ではなく、数十万円、あるいは数百万円をかけて一流ブランドで身を飾る理由は、まさにその「自己満足」と「承認欲求」を満たすためです。この場合、アイテムが「本物」であることが非常に重要です。偽物を持っていると、自分の選定眼が疑われるだけでなく、品格そのものも損なわれてしまいます。

一流ブランドのデザイナー(設計者)たちは、他にはない独自性にこだわり、職人たちは品質を徹底的に追求します。なぜなら、誰もが憧れる製品を生み出し、価格そのものをステータスにするという戦略を理解しているからです。仮に一流ブランドと同じ材質を使っていると謳われている製品を安価で手に入れたとしても、実際に店舗で比較すれば、そのデザインや作り込みが劣っていることに気づくことは珍しくありません。

多くのメーカーは、ヒット製品をベースにどう差別化するか、あるいは流行にいかに素早く乗るかを出発点にしています。なぜなら、流行を先導していくことは運に左右されることが多く、経営的に大きなリスクを伴うからです。しかし現実には、独自性を生み出せない企業のブランドはファンを獲得することができず、長続きしません。ヒット商品に依存した自転車操業の開発体制や価格競争に陥ることで、職人や納入業者が疲弊してしまうという問題もあります。

私自身もかつてそのような業界に身を置いていた経験があります。その中で感じたことは、ヒットに左右されるのではなく、10年、20年、できれば100年にわたって愛され続ける作品を生み出すことの大切さです。今では、そのような作品作りを目指して日々取り組んでいます。


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