『表面だけの一枚革』と『本当の一枚革』について
革業界には表面を一枚革で作ったカバンを略して『一枚革』と呼び、製品が高級品であることを示すところがあります。本革は天然由来なのでキズやムラが避けられません。これらを避けて大きな一枚革を切り出すと歩留まりがとても悪くなり、原価が跳ねあがるからです。
センターで割ったり、外ポケットなどで誤魔化したりしながら大物のバッグを作ってコストダウンするのが一般的です。縫製箇所が増えても圧倒的に安く作れます。
『紙袋風自立するレザーバッグ・ラフL/M』は、その上をいく『本当の一枚革』で作成してます。キズやムラを塗装で覆い隠す事のできないヌメ革を使った、このサイズの作品はまずお目にかかれないと思ってます。
国内の革業者に小さいものを何度かOEM見積もりをお願いしたことがありますが、すべて見積もりをいただく前に『不可能』と断られました。本当の一枚革は大型化するほどハードルがどんどん高くなります。
コストのハードルをLとMの2サイズを切り出すことでクリアしました。それでも出てしまう端切れは別途、有効活用する予定です。
今回のセット品である厚革のミニマウスパッドは、前回以前の厚切りシリーズで生まれた端切れで作ってます。
本当の一枚革のエイジングをお楽しみいただける作品です。
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